今でも覚えている、はじめて「おばさん」と呼ばれた日、はじめて座席を譲られた日
遠い過去のような、ついこないだのような。大人になれば、誰もしもが通る重大な鬼門、呼称が変わる瞬間。お姉さんだった自分がおばさんやおばあさんになったとき。
(2025.07.19 last updated )はい。
わたしは覚えています。
その日のことを、鮮明に。
はじめて「おばさん」と呼ばれた日
わたしがまだ、大学1年生のときのことでした。
小学生の男の子3人組に、ごくごく自然に呼びかけられました。「おばさん!」と。
そのときの状況をご説明いたしましょう。
もう時効だから言ってもよいかと思うのですが、当時自宅で飼っていたごくごく小さなペットが亡くなり、近所の空き地に穴を掘って埋めてあげたのです。
本当に、知ってるわたしたちしかわからない程度の盛り土をして、知らない人にはどってことのない平らな地面だったと思うのですが、好奇心旺盛な小学校低学年の目には特別な曲線に映ったらしい。
そっと手を合わせて背を向けた瞬間、後方から「あっ、ここなんだろう!?」と少年の声が。
続けて「ねえ、掘ってみよう!」と誰かが。
なーにーーーーー!?
慌てて駆け寄り、少年たちに向かって「そこはお墓なので、掘ってはいけない」旨を伝えました。
わたし自身もまだ10代。
誰かを上手に手なづけるすべもありませんので、お願いの仕方もストレートです。
そしたらですよ。
少年A「おばさんが掘ったお墓なの?」
(•••お•••お•••おば•••?)
確かに。
確かにね。
そのときのわたしは、10代とは言い難い、ババくさ〜い部屋着を着ていた。人生初のパーマに失敗して、髪型もおばさんの極みだった。なんならノーメイクだったし、そしてなにより、眉間にシワを寄せて鬼の形相だった。
そりゃあ君たちから見たら、「おばさん」に相違ないでしょう。
でも、こんな出会いじゃなければ、「お姉さん」と呼んでもらえるチャンスがあったかもしれないのに。
ショックをひた隠しにし、とにかくそこを掘らないでほしいことをどう説得したかは、記憶にありません。
ただただ、生まれて初めて「おばさん」と呼ばれた事実だけが脳裏に植え付けられました。
はじめて席を譲られた日。
たぶん、50歳になったばかりの頃だったと思います。
電車の中でドアのそばに立っていたら、目の前の座席に座っていた女学生がすくっと立ち、
「座ってください」
と。
え?
わたし?
電車に乗るレベルのお出かけの場合は、わたくし、身なりをちゃんと整えて若作りしているのですけれども?
そしてショックに拍車をかけたのは、その女の子が小学生でもなく、中学生でもなく、思慮分別のできる高校生らしいことでした。
10代のわたしをおばさん呼ばわりした、わちゃわちゃのお子ちゃまとは事情が違います。
あ、ありがとうございます
わたしは、ショックを隠し、ありがたく空いた席に座らせてもらいました。
なぜか?
実はわたし、その日は家具屋からの帰り道で、大きな紙袋を数個持っていました。
この体勢で、立っているのは確かにツラく•••。
そのときからすでに10年が経っていますが、わたしはいまだに疑心暗鬼のままなので、彼女に問いたいのです。
あのときの女学生さん?
わたしに席を譲ってくれたのは、
- わたしが優先席に座るべき老人に見えたから?
- 重そうな荷物をいくつも抱えているのが大変そうだったから?
どっちだったんでしょうか???
今後、気をつけなきゃいけないこと
「おばさん」と呼ばれることは、その数年後、わたしにとっての日常となりました。
自分のことも「おばさんね〜•••」と話すようになりましたし。
どってことはありません。
問題は「席を譲られる」方かも。
わたしの母は、もう90歳近いですが、いまだに電車の席を譲られることに納得していません笑。
席を譲られるほど老けて見られることに抵抗があるからです。
「あら、そんなに老けて見える?」
と、余計なことを言っちゃうタイプ。
これでは席を譲ってくれた方の立場がなくなっちゃいますよね。
教訓。
若者が席を譲ってくれたときは、ありがたく頂戴いたしましょう!
「なぜ、譲られたのか?」の理由については、掘り下げないでおく笑。
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